<南風>地図をください


社会
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 タイトルにピンときた方はきっと同世代。遊佐未森さんのヒット曲。天井から降り注ぐようなやわらかな歌声は多くの人を魅了した。懐かしく思い出して調べていると作曲が沖縄文化研究者の外間守善さんの息子さんであることを知り驚く。

 先日、読谷村のユンタンザミュージアムを訪ねた。目的は読谷村教育委員会発行の村内22字の名所、史跡、歴史などを紹介するガイドマップをもらうため。

 受付の方にその旨を伝えると、「どの字ですか それとも全部」と聞かれたので、「全部ください」とお願いすると、その方はうれしそうに輪ゴムで束ねられた22字のマップを大きな封筒に入れてくださった。

 ミュージアム内には、村内のカーを紹介するコーナーもあり、あらためて読谷村の大きさや水の豊富さを知る。歴史や戦争についての展示や資料もぜひ多くの方にみていただきたい。

 私は湧き水を訪ねる際の資料として、地域の地図や文化財、史跡に関することがまとめられた冊子等を集めている。県外に行く際も、観光マップをはじめ湧き水に関することが掲載されている資料は収集し、自宅の本棚に、県内の市町村別、県外は都道府県別に並べ活用している。

 SNSで「地図が売れなくなっている時代」という投稿を目にし、ネットで簡単に検索することができることの便利さと切なさを感じた。

 タモリさんは「笑っていいいとも」に出演していた頃、なかなか遠出ができず、楽屋でよく地図を眺めていたという。その後の「ブラタモリ」では、実際にその場を訪ね、楽しんでいらっしゃるそうだ。

 地図を広げる楽しさは、想像力をかきたて、ネットでは味わえない趣を伝える。これからも地図を片手に湧き水めぐりを楽しんでいきたいと思う。
(ぐしともこ、湧き水fun倶楽部代表)