<南風>芸大の魅力伝える作品展


社会
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 私が沖縄県立芸大(県立芸大)を卒業して12年がたつ。16年前、三重県から県立芸大を受験し、縁あって4年間ここで陶芸を学んだ。

 今は非常勤講師として大学に顔を出しているが、恵まれた環境にいたのだと思う。整った設備に加え、教授、講師の制作を生で間近に見ることができる。今でも脳裏に焼きついているほどその当時の私は刺激を受けた。一人一人から教わった技法は私の引き出しとなり、それは今でも自分の陶芸に生かされている。

 同じ学び舎(や)で過ごした仲間たちは12年たった今も、県内でも多く活躍している。伝統的な技法を引き継いでいく者、手仕事・クラフトをする者、器の概念にとらわれない前衛的なものを作っている者、その方向性は多様である。

 私は大学を卒業後、一度工房に勤めたあと独立した。独立する際に実家のある三重県に帰ることも考えていた。それでも沖縄に窯を構えると決めたのは同級生、卒業生の存在も大きかった。おかげで私は今でも身近に彼らの作品を感じ、刺激を受け続けている。

 昨今、学生が減っているなか、県立芸大の魅力を少しでも一般の方、受験生に伝えたいと、大学に携わっている一卒業生として何かできないかと考えていた。

 そこで県立芸大が開学し33年、学生はじめ、多くの卒業生、教員等を募り展示をしたいと考えている。

 どれくらいの方が参加してくれるかはまだわからないが、さまざまな作品が見られることは間違いない。さまざまな人、作品が集まり、それを見る人がまた集まれば新しい何かが生まれるだろう。

 県外の方の参加や展示方法等課題は多いが、個人的にも実現したところを見てみたい。私の連載も残すところあと2回となるが、この展示会への思いと近況をお伝えできればと思っている。
(山本憲卓、陶芸家)