<南風>「映画ってもうかるの?」


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 今から6年ほど前に「沖縄市で映画祭をするには、どんなことからスタートしたら良いのか?」そんな会議に参加したことがあった。県内外の事例を共有するためにさまざまな分野で活躍する面々がそろっていた。

 そんな中、私の仕事仲間が放った一言が「そもそも映画ってもうかるの?」だった。そのシビアな質問が多くの視点を産み出した瞬間だった。地域活性化という大義名分の下、数々のイベントが企画される。少しでもビジネスにつながる案でなければ疲弊を生む。そうなると人は離れる。もうけ重視ということではないが、多くの人が共感・共鳴・共同作業していただけるテーマを持つことが重要だ。

 われわれは宿題を抱え、何度も話し合った。二つのアイデアが出た。一つ目は地域発信の映画をいつでも楽しめる持続可能なミニシアターの運営だ。二つ目は映画の共同製作(商品開発)だ。簡単に書いているが、このチャレンジは大きなイメージと覚悟が必要だ。ひとりではできない。仲間が必要だ。仲間をつくるためには共感を生む結果が必要だ。シアタードーナツが経営5年目を迎えているのは共感を生んだ結果だと私は思っている。

 実は現在上映中の“家族”をテーマにした映画「ココロ、オドル」(岸本司監督)が先の二つ目のチャレンジである。私は県民全員が1カ月に1本は映画館で映画を鑑賞してほしいと願っている。なぜならば、人間の価値観を自由に表現している映画には学ぶものがたくさんあるからだ。学んだ後のコミュニケーションは活性化する。映画の感想を共有するのは本当に楽しいものだ。

 では、私なりの「映画ってもうかるの?」の答えは…、地域の方に必要とされていることを実感できているかの結果が教えてくれるだろうと考えている。

(宮島真一、カフェ映画館「シアタードーナツ」経営)