<南風>シーサーに守られて


社会
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 国道58号沿いに面した浦添市城間にある当社ビルの正面には、三体のシーサーが飾られている。よく見かける光景は、門であれば対になっており、屋根に乗っているのは一体であることが多いのだが、何故(なぜ)このビルは三体なのかと着任してから不思議に思っていた。時折来客からも質問をされたりするが、当を得た答えを持ち合わせていないので返しの言葉に窮していた。

 一方、ビルの裏手には、沖縄が生んだ偉大なる陶芸家、島常賀さんに制作してもらった風格漂うシーサーがひっそりと木陰に身を寄せている。何故こんな立派なものがここにあるのか?

 経緯を社内で確認すると、昭和57年、当時のトップであった沖縄電信電話管理局長と島常賀さんとの対談が実現した。その縁もあって、巨匠に制作を依頼したのだが、モデルにしたのは切手にもなった沖縄郵政所有のシーサーである。

 対談から約半年後に完成し、那覇市楚辺にあった社有の宿泊施設「でいごプラザ」に設置された。その姿は島常賀さんの作風に溢(あふ)れ、勇壮さと共に背中の反(そ)り具合が素晴らしい曲線美を誇っている。さかのぼれば郵政と電電公社は元は同胞であるが、シーサーも同胞だったとはとの感慨が湧いた。ある意味、これは対になっているのかもしれない。

 その後「でいごプラザ」が閉館となり、平成14年に現在の城間ビルに移設された。城間ビルは平成8年に落成したので、冒頭述べた正面の三体が先に守り神となっていたが、裏手には強力な助っ人が補強されたような感じだろうか。

 三体は、ビル設計関係者が建物とのバランスで決めたようだ。特段のオチは無いのだが、ちょうど敷地内にある隣接した低層棟を今後解体して、新たな複合ビルを建設予定である。今は四体のシーサーに守られて、無事安全に工事が進むことを願うばかりである。
(畔上修一、NTT西日本沖縄支店長)