<南風>うない


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 赴任して間もない頃「うないとの対話会」と予定表に書かれているのを見て、妙に「うない」という響きが印象深く残ったことを記憶している。

 「うない」とは姉妹という意味の沖縄の方言であるが、当支店では約10年前に発足した女性コミュニティーを指す。「うない」メンバーは、行動力があってパワフルで世話好きな人が多い。講演会の開催や社会奉仕に力を入れている。

 その一つにフードバンクへの協力がある。きっかけは平成28(2016)年1月頃、新聞に沖縄の子どもたちの貧困についての特集記事が掲載され、職場でも大きな関心を集めていた。「うない」としても深刻な貧困状況に対して少しでも支援ができないかと、設立当初から取り組んでいるエコキャップ運動のノウハウを活(い)かし、会社全体を巻き込む形でスタートした。

 フードバンク寄贈品の募集時期になると、玄関ロビーや事務室に置かれた収集箱に次々と食料品が集まっていく。それを覗(のぞ)き込んでは、たくさん入っていると何だか嬉(うれ)しい気分になってくる。4年目に入った今では、現役社員のみならずOB・OGの協力もあって、当初の3倍近くの量が集まるようになり年々支援の輪が広がっている。

 さらに昨年からタオル帽子の寄贈にも協力している。タオル帽子とは、化学療法などの副作用で髪が抜けた方向けの手縫いで仕上げたタオル生地の帽子で、昨年初めて県内の病院に寄贈し非常に感謝されたという。さまざまなライフイベントと仕事を両立してきた「うない」は、限られた時間を実にうまく使って日々業務に家庭に社会奉仕にと自然体で取り組んでいる。

 「働き方改革」を推進するには女性の感性を大いに活かすべきだと感じる。それ故、これからも「うない」の活動を後押ししていきたい。

(畔上修一、NTT西日本沖縄支店長)