<南風>今そこから、あなたのフェミニズム


社会
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 フェミニズムやフェミニストという言葉を聞いたことはありますか。フェミニズムとは「性に基づく差別や搾取や抑圧をなくす運動」のこと。これは米国の黒人女性ベル・フックスのシンプルで力強い定義です。フェミニストとは、そうした思想を持ち、行動をする人のことを指します。

 私は沖縄のお姉さんたちが「私はジョーシチャー(女中)ではない」と怒っている場面に何度か出会ったことがあります。外で仕事をしていても、妻として、母として女性には家事・育児の過重な労働が課せられがちです。「私も一人の人間だ」という平等感覚に基づいた呟きや怒りの中にフェミニズムの芽はあります。

 多くの場合、差別に気がつくのは差別される側です。歴史的に見れば、女性たちを中心にした運動によって、女性の選挙権や高等教育を受ける権利が勝ち取られ、性暴力やDVが問題化されてきたのです。でも、対等な関係や公平な社会の仕組みを目指すならば、性別にかかわらずフェミニストになれます。

 一口に性差別と言っても、その社会で立場の強い民族か弱い民族か、お金持ちか貧乏か、健常者か障害者か等で、その表れ方はさまざまです。だからこそ、自分の経験や違和感、怒りを言葉にして他者と共有することが大切なのだと思います。

 私は沖縄でフェミニズムをもっと発展させたいです。昨今、世界はフェミニズムブーム。読みやすい本も相次いで刊行されています。高級ブランドのディオールがフェミニストのスローガンTシャツを発売したのを皮切りに、お手頃価格のGUがこれに続きました。私も足元からブームを作るべく「ワンネー ジョーシチャーアラン(私は女中ではない)!」Tシャツを作ろうかな。さて、あなたもフェミニストになりませんか。
(玉城福子、大学非常勤講師)