<南風>おもてなしの心


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 1月にスタートした南風の執筆も今回が最終回となった。その時々の思いや旬の事を拙い文章で綴(つづ)ってきたが、「読んでますよー」と嬉(うれ)しいお言葉をたくさん頂き、感謝の気持ちでいっぱいだ。名残惜しいのだが、ラストは「おもてなし」について綴り、締めたいと思う。

 食空間コーディネーターとして活動するに至ったのには、私のもう1人の母とも言える伯母の影響が大いにあった。伯母の存在無くして今の私はないだろう。

 20年前、東京の食空間コーディネーター養成校へ誘ってもらい、私のビジョンには無かった職業を開花させてくれ、そして学ぶことの大切さ、何事にも前向きに真摯(しんし)に取り組む姿勢、何より心を込めて「おもてなし」することを教えてくれた。生涯現役、私の目標とする伯母は現在94歳!華道、茶道、礼道の教授者として今も活躍中だ。

 さて、「おもてなし」とは「もてなす」の丁寧語であり、その語源は、「ものを持って成し遂げる」という意味である。茶の湯から始まったと言われる「おもてなしの心」は、お客さまへの気配りや心遣いを大切にし、驚きと感動を感じてもらいたいという日本人ならではの美しい心ではないだろうか。

 2013年、「お・も・て・な・し」で一世を風靡(ふうび)したオリンピックのプレゼンテーション。あっというまに来年20年には、世界中から1500万人のツーリスト動員数が予想されているようだ。沖縄にも多くの人々がやってくるだろう。沖縄の青い空と海、独特の伝統文化、素晴らしい工芸、日本遺産の食を感じて知っていただけるよう、ウェルカムンチュのおもてなし精神を持って温かい心でお迎えしたいものだ。

 そして沖縄の食卓から広がるおもてなしの輪、和、話、が世界平和へと繋(つな)がる一端となるよう、私もベストを尽くしたい。
(大木綾子、食空間コーディネーター)