<南風>幸せの連鎖


社会
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 小学生の頃、大好きだった「とまり子ども図書館」は崇元寺石門近くの源河医院の2階にあった。源河朝明先生が地域の子どもたちのために開放し、奥さまがいつも優しい笑顔で迎えてくれた。そこに行けば「キャンディキャンディ」のマンガが読めて、季節ごとのイベントもあって、友だちと一緒に遊べる憩いの場だった。地域で子育て支援活動を始めてしばらくたった頃、その時の思い出がよみがえり、いつか私もそんな居場所をつくりたいとの思いを温めていた。そしてチャンスがおとずれた!!!

 2016年9月24日、那覇市松川に「にじの森文庫」をオープンした。きっかけは、にじのはしファンドサポーターで会社経営者の三浦清忠氏が大阪から来沖した際に、私がその夢を話したことだった。彼は即答で「ぜひやりましょう」と言い、翌週には大きな大きなご寄付が口座に届いた。驚きと感謝で、私の本気スイッチは全開。以前からお世話になっているレキオスホールディングスさんが物件探し、内装工事、レッドカーペットの開館式までプロデュースしてくれた。

 肝心要の人材は、地域の肝っ玉母ちゃん、伊志嶺幸美さんが初代館長を務めてくれた。わずか3カ月という強行スケジュールで、テンションの上がるちょっとおしゃれな子ども図書館が出来た。

 三浦氏はさらに千冊を超える絵本やマンガをご寄付くださった。他にも心温まる物心両面の応援を友人、知人から頂いた。オープン当日の朝、ふと見上げると、空高く舞う龍のような雲と虹(にじ)が門出を祝福してくれていた。現在週2回開館し、大繁盛。地域の大先輩も看板娘として活躍中だ。幸せな記憶は次へと引き継がれていく。この場所が私の体験のように幸せな記憶のひとつになれたら。そんな連鎖が生まれることをひそかに願っている。
(糸数未希、NPO法人にじのはしファンド代表理事)