<南風>科学の魅力伝えたい


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 2017年1月に沖縄科学技術大学院大学(OIST)の学長となり、沖縄に参りました。多くの読者はすでにOISTを訪れたことがあるかもしれません。

 OISTはあらゆる方々に開放されており、毎年平均3万人近い来訪者があります。もしまだいらしたことがなければキャンパスのご見学やサイエンスフェスタ、無料で行っている様々なコンサートや展示会にご参加ください。

 ところで、世界でも最も権威のある研究機関の一つを率いていたこのドイツ人科学者を沖縄に駆り立てたものはなんでしょうか?

 第一に、科学こそが将来の課題を克服するのだという確信です。例えば、医療、環境、持続可能なエネルギー供給、気候変動…。私たちが生き残るためには科学が必要だということです。

 第二に、OISTが世界有数の優れた研究大学になるために必要なすべての要素を持っているということ。最近、国際的な科学誌ネイチャーが、2018年の自然科学分野で著名な学術誌に載った質の高い論文の割合が高い世界研究機関ランキングを発表しましたが、OISTは日本でトップ、世界第10位にランクされました。これはOISTが、世界の諸課題の解決策を提示しうる可能性を示す一つの指標となるでしょう。 

 第三に、OISTは世界50カ国以上の国々から集まる学生や教員にとって最高の教育・研究の場であるということ。第四に、OISTはハイテク産業を発展させる沖縄のイノベーションの中心地となることに特化していること。もちろん、沖縄が美しく、清潔で安全だという点は言うまでもありません。

 このコラムでは、サンゴ礁保全、持続可能なエネルギー、医療などOISTの研究の数々をご紹介すると同時に、このドイツ人科学者の目を通した沖縄をつづってみたいと思います。

(ピーター・グルース、沖縄科学技術大学院大学学長)