<南風>ロンドン沖縄デー


社会
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 イヤサッサ、ハーイヤ! 太鼓の音と共に、威勢の良いエイサーの掛け声が響き渡る。毎年6月にロンドンで行われる沖縄デーは今年で11年目を迎えた。

 ロンドン大学SOAS校を拠点としているロンドン三線会は、ウチナーンチュのみならず、三線の虜(とりこ)になった英国人、ヤマトンチュ、スイス人もいる、いわゆるチャンプルーなグループだ。今年は石垣島、奄美大島、フランスから応援ミュージシャンたちも駆けつけた。アマチュア集団が、ロンドンのリバプール駅に近いオールドスピタルフィールド広場で、沖縄の唄や踊りを披露しているのはウチナーンチュとして本当に誇らしい。あの控え目な英国人たちを、最後のカチャーシーで踊らせてしまうのは、三線の持っているパワーに違いない。沖縄の皆さんにもぜひカチャーシーを踊りに来てもらいたい。

 7年前に渡英して、ご縁があり沖縄県人会の会長を務めさせてもらっている。南米やハワイなどと違い、ヨーロッパにはウチナーンチュ移民が少ない。県人会員も、私を含めほとんど沖縄生まれの1世たちだ。私は1989年に東京に移るまで沖縄で育ったのに、三線も琉舞もエイサーもできず、カチャーシーすら下手である。なので、今年は手作りのちんすこうとゴーヤーチャンプルー弁当を担当させてもらった。千代さんとあずさちゃんと、朝からユンタクしながら、気分はすっかりユイマールだった。

 沖縄の友人のおかげで、憧れのBEGINからロンドン沖縄デーへの応援ビデオメッセージが届いた。夢のような出来事だ。

 会場となった広場の一角には、なぜか真っ白い山羊(やぎ)の像があり、会場全体を見下ろしている。美しい「芭蕉布」の歌声を聴きながら、珍しくよく晴れたロンドンの青空の下で、目を閉じると沖縄のキラキラした碧(あお)い海が見えた。

(渡名喜美和、英国沖縄県人会会長)