子どものころから、なぜか「働く」ということを意識していた。その言葉に、自分の全てが集約しているような不思議な感覚があった。
改めて漢字の意味・成り立ちを調べてみよう。意味は、何かを成し遂げる行動を行い、その行動によって人に利益をもたらすとある。成り立ちは、人が重い袋を動かして「働」という漢字ができたそうだ。
では、人はなぜ働くのだろう? 働く意味や意義、目的は何だろう? いまだに、自問自答を繰り返している。
自身を振り返ると転職10回以上、業種も一貫していない。その時々で、働く目的も変化していく。
母子家庭で生活を維持することで精いっぱいのころもあった。子どもの成長と共に、これまで封印してきた気持ちがあふれ出す。子育てと仕事の両立に悩んだり、社会制度を知らず個の問題として抱え困窮した経験を人に伝えることで、何か役割を果たすことが出来ないだろうか?などと。
だんだんと、出来ること、必要とされること、希望することが重なる働き方が出来るようになってきたが、キャリアを重ねていくとその時々で、次々課題が見えてくる。
50代を迎え、これまで悶々(もんもん)としていた想いを行動に移そうと決意した。同じようなことを考えていた旧友と2人で「働く」を軸に、何が出来るのか何度も意見交換を重ねた。これまで培ってきた経験と社会課題を少しでも改善できる事業提案を自ら作ろう。それを具現化するために、起業し法人を設立することにした。それが、平成25(2013)年12月に誕生した(一社)ジョブリッジ研究所である。
還暦を迎える年に「南風」を書かせていただける機会を得ました。皆さまと共に、考えるきっかけになるコラムをお届け出来るよう務めて参ります。
(赤嶺久美、ジョブリッジ研究所代表理事)