琉球新報社 ７月は私の誕生月です。誕生日の数日後、来年はこれ！あれ！と、すぐにプレゼントを探すミーハーな子でしたが、運良くすくすくと育ち、今では欲しい物より、どう成長したいか、どう在るべきか‥そんな事を考えながら当日を迎えるようになりました。毎年秋ごろには忘れていますが、成長してるでしょ？と聞くと、してるしてる、なんて答えてくれる優しい人に囲まれた私の人生です。
そんな今年の誕生日はヴェローナという街の野外オペラで、世界的歌手アンナ・ネトレプコの歌と共に迎えました。会場は二千年前に建てられた円形競技場。夏の間、毎日埋まる二万人の客席はイタリアの暑さに負けない熱狂ぶり。初めて訪れた時、ヒロインから漂う色気と共に、真っ赤な夕陽がじんわりと沈み、空と音楽が共にグラデーションした妖艶さは奇跡のようで、忘れられません。今回は、早い時間に暗くなり、観客、オーケストラ、歌手、全員が、舞台を見ながら音楽という目に見えないアートに見ほれる‥そんな不思議な感覚でした。
クラシックとは、語るようなピアノのソロもあれば、木の温もりが自然へ魂を返してくれる弦楽器、人の息が音になり心へ届く管楽器、そして言葉は分からなくとも何故か胸を熱くさせる歌。全て、一人で演奏する事もあれば、数名、もしくはオーケストラや今回のオペラのように大規模なものまで幅広く存在します。ですから初心者の方はまず好きなジャンルを探すために、色々な演奏会へ出かけるのも一つの楽しみ方かも知れません。
というわけで、音楽の話に没頭してしまいましたが、今年の目標は、美食の国イタリアで少し大きくなりすぎた気持ちと体型を引き締め、凛（りん）とした美しい大人の女性に近づけたらと思います。果たして達成なるのでしょうか。乞うご期待！
（下里豪志、ピアニスト）
