<南風>うるま市のキャリア教育


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 さんごの島という意味を持つ沖縄の言葉「うるま」から名付けられたうるま市は、沖縄本島中部、東海岸に位置している。

 法人を設立して、初めて受託したのがうるま市公募事業である。私にとって最も大切な場所だ。

 2008年から、沖縄型ジョブシャドウイング事業の取り組みが始まった。県内の小、中、高校生を、企業に受け入れていただき、「働く大人を観察する」という事業である。その目的は、働く大人を観察し働くことについて、児童生徒が自問自答しさまざまな気づきを得る。将来の夢や進路について自発的に考えるきっかけづくりの場を提供する事業である。

 私は、その事業の立ち上げに携わっていた。当時、あまり知られていない事業であったため、島しょ地域を含め、県内全域の企業に飛び込みで事業説明に伺い、多くの企業の方々に大変お世話になった。企業のみなさんが、無償の愛そのもので子どもたちに接してくれた。初対面の大人と子どもたちが、この事業を通して心の交流が広がり互いに尊重し合う姿を見ていると毎回こみ上げる感動があった。

 私自身この仕事に、やりがいを見出し、幸福感を味わうとともに、子どもたちにもっといろんな大人と出会ってもらい、人生を豊かに過ごしてほしいと願い続けていた。

 そして何年かたった頃、うるま市型ジョブシャドウイング公募事業を受託することになり、再びこの事業に携わることになった。喜びでいっぱいである。職場まで片道35キロの道のりを、6時の始発バスに乗り、往復4時間かけ通勤する生活が始まった。2時間バスにゆられ、たどり着いたそこには、熱き行政マンたちがとびきりの笑顔で、手ぐすね引いて待ち構えていた。今まで経験したことのない陽気で、斬新な日々の始まりである。つづく。
(赤嶺久美、ジョブリッジ研究所代表理事)