<南風>瞳の中に


社会
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 ソーセージ、ビール、金髪の王子様…降りたったのは中学生のころ留学を夢見たドイツ!国際コンクールで録画予備審査があり、そのレコーディングのためはるばるイタリアから飛んできました。が、せっかくならと、先輩ピアニストのいる街まで足を伸ばし、数日のバカンスを過ごす事に。

 ヨーロッパには、イタリアやスペインなどの彫刻のように彫りの深いラテン系と、ドイツを中心とした真っ白な肌に金髪がまぶしいゲルマン系の人がおり、瞳の色もさまざまです。海外では相手の目を見て話すのが当たり前で、留学したてのころ、日本人には見られない色の瞳を持つ、外国人に話しかけるのが楽しみでした。この旅もいろいろな場面で出会いがありました。言葉を交わしたドイツ人は、青い瞳に落ち着きがあり、大人に見えちゃうから不思議。

 多種多様な外国人の雰囲気に憧れる私ですが、今回ドイツを訪れて、予想外の収穫は私と同じ目の色、つまり日本の方たちと出会えた事でした。あまりに多忙で、国をまたぐ高速道路のサービスエリアで頭を洗い、コンサートピアノのメンテナンスをする事もあるという調律師の方、ドイツの音大を卒業し、現地で就職することに決めた先輩、その先輩の紹介で知り合ったサラリーマンの方は、長期出張は何カ国目かわからないと笑いながら話す…同じ色の瞳でもそれぞれ見てきた世界、これから見据えていくものは全然違うんだなぁと当たり前だけれど深く感動し、改めて視野を広げたいと思いました。

 遠くに出掛けて身近にある宝物に気づいたり、知りたいことが増えたり、これだから旅は面白い。

 というわけで、皆さんも今年の夏はいつもより遠くに出掛けてみてはいかがでしょうか。何か見つかれば帰って後の日々がグンと充実してくると思いますよ!
(下里豪志、ピアニスト)