<南風>猫の里親になる


社会
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 実家には、いつも猫がいた。猫がいることが当たり前だった。大人になり仕事、結婚、子育てとライフステージが変化する中で、猫を飼う余裕がなくなっていったが、心のどこかにいつも猫がいた。

 私の生きがいは「働くこと」と公言し、一日のほとんどを仕事に費やし、いつも頭の中は仕事のことでいっぱいだ。多くの方々と関わり、助けてもらいながら元気に仕事をしているが、帰宅するとエンジンが切れてしまう。子どもたちも独立し、年々おひとり様の時間も増えてきた。

 30代にあることがあってから、仕事にまい進すること、少しでも社会の役に立つことをすると自分に課している。

 肩に力が入った状態で仕事をして何年か経ち、ひと呼吸できるようになったころ、これまでなるべく見ないよう、考えないようにしていた猫のことを解禁してもいいのかなと思えてきた。ペット可物件を調べることが日課になり、探すこと2年、やっと引っ越すことができた。その時、猫の里親サイトをよく見ていて、飼うなら里親になろうと決めていた。引っ越しの荷ほどきも早々に、初めて猫の譲渡会に参加。最初に抱っこした猫を連れて帰り、2週間の飼育お試し期間後、里親の手続きを済ませ正式にうちの子になった。

 野良猫や何らかの事情で飼えなくなってしまった猫を、個人や団体が保護している。猫の里親とは、その保護猫を引き取って育てることである。保護している皆さんは、猫の殺処分が1匹でも減るようにとほとんどボランティアで活動している。

 猫と暮らすようになって、生活にはりが出てきた。私が、落ち込んでいると愛くるしい瞳でみつめてくる。「もっとおおらかにね」と言ってくれているように、癒やしてくれる。よし、明日からまた頑張ろう!!

(赤嶺久美、ジョブリッジ研究所代表理事)