<南風>中小企業の日


社会
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 7月20日が「中小企業の日」と決定されたことをご存じだろうか。6月14日、中小企業庁は、中小企業基本法の公布・施行日である7月20日を「中小企業の日」、7月の一カ月間を「中小企業魅力発信月間」とすることを発表した。中小企業の存在意義や魅力などの正しい理解を広めるための特別な日の制定だ

 制定のきっかけは、実は沖縄だ。2010年に閣議決定された中小企業憲章の理念を広く県民に知らせていこうと、沖縄県中小企業家同友会が中心となって「沖縄県中小企業憲章シンポジウム」が毎年開催されている。

 終了後は、パネリストを囲んで近くの居酒屋で懇親会。酒が進むと奇想天外「大ボラ吹き大会」が始まる。テーマ曲は「ほーら」からはじまるキロロの「未来へ」だ。「国連を発展解消し沖縄に『世界いちゃりばちょーでー本部』を作ろう」とか「世界の249カ国・地域から学生が集まるコスモポリタン市民を育てる『なんくるないさ大学』を作ろう」。「世界中の紛争、災害時に被災者・弱者を救済支援する『ちむぐくる医師団』と物資輸送を担当する『はーえーごんごん隊』を作ろう」など、言いたい放題だ。

 そんな中で提案されたのが「中小企業の日」だった。県内の中小企業数は全企業の99・9%、従業者数は全体の約80%だ。沖縄の未来はまさに中小企業の成長・発展にかかっている。これはいけるんじゃないかと意気投合した。こうなると動きは速かった。参加したパネリストが精力的に関係者に働きかけた。沖縄同友会も全国協議会で提案。その後、中小企業家同友会全国協議会の2018年度「国の政策に対する中小企業家の重点要望」に盛り込まれ、今回実現したのだ。地方の小さな声が中央に届き実を結ぶ過程を学ばさせていただいた。

(稲嶺有晃、サン・エージェンシー取締役会長)