<南風>ハワイの環境対策参考に


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ハワイは、ウチナーンチュの多い場所です。ハワイ州知事であり、電気技師でもあるデービッド・イゲ氏もその一人です。昨年彼を訪ねる機会があり、ハワイに対する彼のビジョンに感銘を受けました。沖縄とハワイには共通していることがたくさんあり、似たような課題も多いので、イゲ氏のビジョンは沖縄にも役立つのではないでしょうか。

 沖縄とハワイの経済において重要な役割を果たしている観光と環境は、気候変動や自然災害によって深刻な影響を受ける可能性があります。沖縄もハワイも海に囲まれた島ですから、安定したエネルギーと安全な飲料水の供給は、特に重要な課題です。こうした課題に立ち向かうため、イゲ知事は、2045年までにハワイ州の電力の100%を再生可能エネルギーにするという画期的な法律を制定しました。さらに、ホノルル市議会は、ワイキキの主要観光エリアで、自動車からの排出ガスを減らし、徒歩、自転車や公共交通の利用を増やすことで30年までにゼロエミッションゾーンとすることを検討しています。

 沖縄はハワイに比べると、残念ながら程遠いところにいると言わざるを得ません。17年の沖縄における電力の94%は石炭、ガスなどの化石燃料から生産され、一方で再生可能エネルギーによる発電はわずか6%です。この美しい島で休暇を過ごしたいと考える観光客が、二酸化炭素とディーゼル排ガスで汚染された空気を求めているでしょうか? 沖縄はハワイの例を参考にしながら、革新的なエネルギー供給に取り組む必要があります。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、波力発電機、安価な太陽電池、そして小規模コミュニティー内でのグリッド制御システム等の開発を通じて再生可能なクリーンエネルギー提供へ取り組んでいます。
(ピーター・グルース、沖縄科学技術大学院大学学長)