<南風>変わらないリスク


社会
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 学生に「私の同期生で新卒入社して今でも同じ会社で働いている人は少ない」と伝えると、多くが面食らった表情を見せます。若者は、無限の可能性を持ち、何にでも挑戦できますが、当の本人たちは、皆同じ職場で長く勤めるのは当たり前、と潜在的に思っていることに、私は驚きます。

 私の周りで、変化というか、進化を遂げている友人の例をあげると、沖縄市のバーの経営者は、町おこしに取り組んでいたら、街をラウンジにするというホテル経営に乗り出し、その次は映画好きが高じて映画製作を成功させて海外の映画祭で賞をもらいました。同じ街の酒屋さんは、地ビールを造り始め、パブを経営し、今月は久茂地にも2号店をオープンしました。専業主婦で子どもが2人いる友人は、未経験ながらレストラン経営に乗り出し、今やオーナーとしてママドル的な存在です。また、アラフィフで海外移住した夫婦は、語学、文化を学び、海外生活の難しさを感じながらも、自身の視野の広がりを楽しんでいるそうです。

 人間は本能的に変化をリスクと感じてしまうため、あらゆる言い訳を想像力豊かに考えつくそうです。それを理解した上で「変化しないとリスクかも?」と考えたときに、日頃から変化思考のトレーニングが必要だと思っています。

 私は、これから自分にとって英語力が必要になると思っていたので、36歳の時に、2カ月NYにこもり、外国人2人とルームシェアをし、英語合宿状態にしてみました。また、英語でプレゼンする機会を増やすなど、外国語を日常的に使うのは面倒くさいこともあるけれど、その環境に身を置く努力をしています。

 変わりたいのに、変われないという悩みを持っている方は、本能のままに生きている自分をまず理解することが、変化に必要な一歩だと感じています。

(呉屋由希乃、社会起業家)