<南風>独創的な渋滞緩和策を


社会
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 山の日の連休に瀬底島に行き、シュノーケリングを楽しみました。名護からの渋滞を避けるために早めに帰路に就きましたが、15時頃には恩納村にオープンしたハレクラニ沖縄から名護市まで、12・5キロメートルに渡って渋滞が発生していたのには大変驚きました。高速道路の出口付近も大渋滞していたはずです。果たして沖縄に来る観光客は、長時間の渋滞に耐えてまで美ら海水族館や首里城公園に行きたいでしょうか?

 沖縄では年々ホテルが増え、観光客数も増加の一途をたどっていますが、必要なインフラの整備が追い付いていないようです。このままでは県民の日常生活と観光産業への負担がますます大きくなると懸念しますが、解決策はあるのでしょうか。もちろん道路新設や、那覇―名護間を結ぶ沖縄鉄軌道の建設計画はありますが、渋滞問題を解決に導くにはもっと独創的なアイデアが必要です。

 那覇―名護間の交通量の3~5%は、電気飛行機や、北京で計画されているようなドローンを使った空中輸送への切替が可能かもしれません。テスラの創設者イーロン・マスクが発表し、ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズが建設中の地下輸送システム「ハイパーループ」のような旅客輸送システムが沖縄にあれば、数分で2都市間を移動できます。また、那覇市にモジュール式の自動運転EV車を導入すれば、道路を新設することなく、機動的な大量輸送が可能になるかもしれません。今後はEV・自動運転車の普及により、運転のストレスが減ることで交通量はさらに増えるでしょう。

 このような新技術について、沖縄は実証実験の地として最適ではないでしょうか。計画に携わる方には、独創的な渋滞緩和策で今後も観光客と県民にとって魅力的な沖縄をつくってもらうことを期待します。
(ピーター・グルース、沖縄科学技術大学院大学学長)