<南風>沖縄で誇りを持って


社会
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 先週、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の入学式が開催されました。

 今年の第8期生は、世界中の入学希望者の900人以上から選ばれた54人。指導に当たるのは、今年、応募者1500人以上から選ばれた17人を含む国際色豊かな教授陣。内外のトップ人材がこぞって沖縄で働くことを選んでいるのです。

 学術誌ネイチャーによる質の高い研究論文ランキングで、OISTは世界第9位にランクインしました。そんなOISTが、沖縄のためにできることはたくさんあります。

 調査によると、OISTに100円投資すると、県経済に160円の波及効果があるそうです。現在県出身の職員は200人ほどいますが、イノベーションの促進で更なる雇用を創出したり、ハイテクスタートアップの触媒として企業同士をつないだり招致をして、沖縄にOISTを中心としたイノベーション・エコシステムを構築することも重要な任務です。

 研究を通じて沖縄の持続的発展や、環境や文化の保全に協力することもできます。ヒアリ防除、サンゴ礁保全など、沖縄に直結する研究が順調に成果を上げています。先日恩納村沖に設置した波力発電実証機は、持続可能なエネルギーを沖縄にも提供すると期待されています。

 沖縄の次世代の科学者や起業家を育成することにも力を入れています。10周年を迎えた恩納村こどもかがく教室、毎年11月に開催され4千人以上の来場者を誇るサイエンスフェスタ、学生や研究者が離島で行う科学の出前授業、高校生のためのメンター・プログラムなどを通して、県民の皆さんと研究成果を直接共有することを大切にしています。

 OISTの教職員一同が沖縄で働くことを誇りにしているように、沖縄にとってもOISTの成長が誇りとなればと願っています。
(ピーター・グルース、沖縄科学技術大学院大学学長)