<南風>電気のありがたみ


社会
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 「台風は大丈夫でしたか?」

 台風13号が去った後は会う人、会う人、このあいさつから始まった。「大丈夫だった」という人が多かったが、「ガラスが割れたよ」「シャッターが壊れてしまった」「駐車場の屋根が剥がれた」等々、被害が出たという人も結構いた。想像以上に強かった台風13号。風も東から北、西、南と回り、サトウキビの葉や木々は、なすすべなく激しく揺れていた。うちは特に大きな被害はなかったが、久しぶりに3日間の停電を経験した。

 当たり前だが、冷蔵庫もエアコンもテレビも洗濯機も照明器具も使えない。電気がつかないと頭では分かっていても、髪を洗った後はドライヤーを手にしたり、トイレに入る時、電気のスイッチを押してみたりと体はついいつもの動作をしてしまう。

 子どもの頃、台風の時に停電するのは当たり前で、ランプの火屋を磨いたり、ろうそくを準備し、数日間に備えた。考えてみたら、宮古全島に電気がいきわたるようになったのは戦後のこと。そんな昔のことではないのだ。

 暗い夜をそれなりに楽しもうと、まずは母と民謡を歌って遊んだ。いい感じ。次は本をじっくり読もうと広げてみた。が、ランタンの灯りでは読めない。若い頃なら大丈夫だったと思うが、今は、みーむっちてならん!(目がショボショボしてだめだ!)早く電気ついて~。

 沖縄電力は、沖縄本島や八重山から多くの職員を宮古に派遣したとのこと。昼夜の復旧作業に入った。夜中に電気がついたと言う友人もいて、連日連夜の作業に頭が下がる思いがした。わが家も3日目の夕方に復旧。思わず拍手をした。  しかし、台風13号の後は15号による千葉県の甚大な被害。千葉の皆さん、東京電力の皆さん、わいてぃどー(頑張って)!

(松谷初美、宮古島市文化協会事務局長)