コラム「南風」 「凡事徹底」の大切さ


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 「お宅の息子さん、先日、明るくあいさつしてくれましたよ」と久しぶりに会った友人の言葉にホッとした。わが家の教育方針はまず「笑顔であいさつ」である。そして「人に感謝」「楽しく勉強」と続く。

 さて、県民が感動し勇気づけられた甲子園での興南高校ナインの活躍から2年が過ぎた。「大臣が出るのが先か、甲子園の優勝旗が海を渡るのが先か」というのが、本土復帰後の県民の大きな関心事であったものだが…。
 「春夏連覇」の偉業を成し遂げた興南高校の我喜屋監督の指導法に、私は新鮮なショックを受けた。「朝の定時起床、朝食、散歩、ゴミ拾い」を日課とし、特に、散歩後に「気づいたことを1分スピーチ」で発表させる。五感が鋭くなり、いろいろなものが見えだし、第六感までが研ぎ澄まされてくるとのこと。「何とかなるではなく、何とかする」「消灯時間の厳守」「あいさつの徹底」等々、生活習慣を律し、人としての礼節を教え、その上に「興南野球」を築きあげた。その結果があの偉業につながった。野球の上手な子どもたちを集めて、単に猛練習したわけではなかったのだ。
 それは、学校教育、家庭教育にも通ずるものがある。「元気なあいさつ」「早寝・早起き・朝ご飯」「読書や学習の習慣」等々の日常生活の「凡事徹底」が学力の向上、さらには興南高校のような偉業につながるのではないだろうか。それをおろそかにして「高い学力」を目指しても砂上の楼閣になりかねない。大いに興南野球・我喜屋監督に共感した年であった。
 ご近所の方に「うちの子はちゃんとあいさつができていますか」と聞いてみてはいかがでしょう。返事に困ったそぶりであれば、家庭教育はまず「笑顔であいさつ」から始めてみませんか。偉業につながる第一歩になるかも知れませんよ。
(知念春美(ちねんはるみ)前普天間第二小学校長)