コラム「南風」 指導者の人事


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 2009年、全国高校駅伝大会へ出場した際に各チーム指導者の勤務状況を調べたことがあります。

 同年の全国高校男子駅伝競走大会は、第60回の記念大会のため58チームが出場しました。その中で私立高校は34チームあり、県立高校は24チームでした。県立高校24チームの中で、半数の12チームの監督は同校で10年以上指導していました。
 九州では、長崎、佐賀、宮崎、沖縄・コザ高校が県立高校として出場していました。長崎県の高校の監督は同校で25年勤務、宮崎県の高校の監督は同校で15年勤務していました。佐賀の高校は10年以上指導していた先生が前年度に退職。その教え子が1年目として指導していたので、実質は10年以上指導していた監督の実績と考えられます。
 全国大会出場の58チーム中46チームが長年(10年以上)指導している指導者の下で全国大会へ駒を進めているのが現状です。これは駅伝競技に限らず、他の競技も似たような現状ではないでしょうか。選手のスカウティングや継続的な指導力の面で優利になってくると思います。
 同じ離島をかかえる鹿児島県は10年以上の勤務を認めていません。しかし、鹿児島県は私立高校が競技力向上に力を入れているため、県全体の競技力が低下することはありません。
 沖縄の場合、現在5年から異動対象になり、長くても7年から8年で異動となります。競技の専門であれば誰でもいいわけでなく、競技力を向上できる指導者は限られています。県立で全国でも強豪校の指導者が「こんな人事をしている県は一生強くならないよ」と言った言葉が忘れられません。
 沖縄県が県立高校で競技力向上を目指し、指導者が望むのであれば、長期間の勤務や人事の配慮を考えてほしいと思います。
(喜納敦(きなあつし)、県立北山高校教諭)