コラム「南風」 読谷村民大会…いつか咲かす


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 この国が平和だと誰が決めたの? 人の涙も渇かぬうちに―。ネーネーズ「平和の琉歌」の歌い出し、平成21年「米軍人によるひき逃げ死亡事件に抗議する読谷村民総決起大会」FMよみたん特別番組で使用した曲だ!
 あれから3年、この歌詞のごとく涙も渇かぬうちに米軍が関わった度重なる事件事故、その度に抗議集会が開催される。

 翌年、普天間飛行場の国外・県外移設を求める県民大会が読谷の地で開催された。県外の大手メディアに並び、手作りのサテライトスタジオから中継した。
 大手メディアのように高価な機材もなくプロのアナウンサーもいないが、包み隠さず今の沖縄を伝えることができた。交通混雑などで会場まで足を運べなかった方や、県外の方からもラジオやネットの中継に称賛を頂いた。
 灼熱(しゃくねつ)の今年9月、宜野湾市で「オスプレイ配備反対」9・9県民大会が開催された。私たちは参加者の目線で会場の中から電話中継を幾度となく行い、大会の模様を伝えた。10月25日には読谷村実行委員会に加わり、村民大会をラジオとインターネットで県外や世界中へ配信した。伝えるから訴えるメディアへ変わった。
 そして11月2日未明、事件は起こった。「アメリカ兵による住居不法侵入・傷害・器物損壊事件」。まさか、地元で起きるとは。村民誰しもが思ったことであろう。当事者側になり実感した日米地位協定の壁。コミュニティー放送局としての役割は、地域の今を伝えること、私たちはそう信じて拳を握る。
 本日の村民大会が開催される前にぜひ聴いてほしい「平和の琉歌」。その歌詞の最後にあるのは「情け知らさなこの島の…いつか咲かする愛の花…」
 小さな放送局でも思いを伝えることが、きっとできると今日も信じて発信する。
(仲宗根朝治(なかそねともはる)、FMよみたん代表取締役社長)