コラム「南風」 成長と男女格差


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 子どもの鼻炎で相談した漢方の医師に言われた。「男の子は女の子に比べて心も体も弱いのです。お母さんが自分の子どもの時の感覚で男の子をみても違うのですよ」。なるほど、確かにと思った。

 息子が幼児の時、よその女の子は落ち着いていてお利口さんに見えた。保育園でも先生の言う事をよく理解し課題をそつなくこなすのは女の子が多かった。小学校でも表彰されたりクラスのお手本になるのは女子が多いように見える。息子の属する小学校の部活動では女子がリーダーシップをとっている。幼少期の子どもの世界では女子が精神的にも体力的にも一歩先を行き、リーダーシップをとっている場面をよく見る。
 自分の経験からも、中学生まではクラスでも部活でも男子をリードしていた記憶がある。しかし高校生になると男女の役割分担がはっきりとしリーダーは男子、サブリーダーが女子だった。例えば運動会での応援団長は男子で女子はチアリーダー。違和感を感じた記憶がある。大人の世界に入ると意思決定機関に属し主導権をとっているのは男性であるのが当たり前だった。会社でも地域でも国の機関でも。
 1999年に男女共同参画社会基本法が制定されたのは、男性中心の社会において男女がもっと対等に活動できる社会を目指してのことである。そしてそれはまだ達成されていない。男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数における日本の順位は134カ国中94位。
 では、大人の女性は男性より弱いのだろうか。私が扱う夫婦や男女間の相談では精神的にタフなのは女性ではないかと思わせられるケースは多い。性別による役割を固定化しなければ、女性はもっと社会に地域に国の機関に進出できる精神、能力があると思う。それを支える社会制度、支援が必要なのは当然であるが。
(村上尚子(むらかみなおこ)、弁護士)