コラム「南風」 米から酒へ、そして感謝!


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 石垣島も11月になり、街行く人々も長袖のシャツが増えてきました。酒(泡盛)造りもこれからいい季節を迎えます。

 一日目、大きな銅製の鍋に水を入れて、上に穴のあいた大きな蓋(ふた)をする。それから火をつける。次に水に浸しておいたタイ国産の米を洗米しておく。しばらくすると蓋の上の穴と蒸し器とをつなぐ筒を通り蒸し器に蒸気が立つと、先ほど洗米しておいた米を入れる。約1時間ほどで米が蒸し上がり、それを底から上へとほぐしていく(炊きたてのごはんをしゃもじでほぐすように)その上洗米しておいた残りの米を入れ、そして約40分ほどすると蒸し上がりまたほぐす。その上から細い網目の布をかぶせてさらに30分ほどおき火を止める。蒸し上がりです!
 蒸し上がった米を麹室(こうじむろ)に移し、一定の温度になるまで冷ましていく。そこに種麹を均等に行き届くように入れ混ぜ合わせ、砂場で山を創るように積み上げ、布をかぶせ一晩寝かせる。次の日の朝、さらに混ぜ合わせて4時間ほどおきそれをひろげて平らにし、また6時間ほど後、上下を返すようにほぐす。その頃には米から麹へと移り変わりつつある。3日目には米麹へとなっている。それをタンク容器に移し代える、米麹と水と種もろみとの融合が始まり、2週間ほどたつと醪(もろみ)となる。
 前述の銅製の鍋に醪を入れ、火をつけ、焦がさないように丁寧にかき混ぜるとやがて沸騰が始まり、蓋をしてしばらくすると筒の中を蒸気が通りその一滴一滴が地下の貯蔵タンクへとたどり着く。それが酒(原酒)である。地釜蒸留なのです。
 簡単に酒造りの工程を記してきましたが、写真などもなく、今回は想像の世界で…。小さな蔵元ではありますが琉球(沖縄)で生まれた貴重な文化、泡盛。それを製造できる事に感謝しています。
(池原興一(いけはらこういち)、池原酒造勤務)