コラム「南風」 与えられた仕事を懸命に


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 人材育成に関する仕事を始めて5年。いろんな方に出会い、いろんな仕事をしてきた。仕事をしていくなかで感じるのは、これまでの経験が全て生かされており無駄が無いことだ。

 いまの事業をする前は、自分自身に何が向いているのかわからず、さまざまな職種を経験した。土木図面の製図をしたり、営業や企画、人事労務管理、病院の事務やリハビリ助手、資格を生かして看護師や保育園で勤務したり、バーテンダーをしたこともあった。
 就労支援を行う中で、さまざまな職業経験は相談者と同じ目線に立つ上で役に立ち、面接指導や履歴書などの資料作成の指導では人事の経験が役に立った。それ以外でも営業での経験や企画の経験が事業を運営していく中でスキルとして役立っている。
 終身雇用や雇用の安定が図れない昨今、働き方の多様化や働くことに対する考え方が変化してきた。一昔前まで、転職はマイナスイメージだったが、現在ではキャリアアップとしてプラスのイメージもある。
 私が運営している団体へもこれまで多くの女性たちが転職に関する相談に来た。現在の会社に対する不安や不満が転職の理由であったり、離婚や育児、介護などの家庭生活の変化による転職希望の理由などもあった。「いまの会社が嫌だから、やりたくない仕事だから辞めたい」という方には、これまで転職は勧めていない。もちろん人間関係で悩んでいる場合は別である。好きな仕事に就いている人は、ほんの一握りで、多くの人は与えられた仕事を一生懸命取り組んでいる。
 スポーツだって最初から試合には出られない。つらく地道な練習があり試合に挑む。仕事も一緒だ。やりたくない苦手だと思う仕事が、実は自分自身を鍛えていることもあると思う。明日からも、与えられた仕事を一生懸命頑張ろう。
(田中美幸(たなかみゆき)、NPOおきなわ共育ファンド代表)