コラム「南風」 電車と歩く距離と持久力


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 家から1番近いコンビニまで約500メートルありますが、いつも迷わず車で行きます。みなさんは歩いていきますか。沖縄の車社会で育った人は、近場でも車で移動する人が多いように思いますが、どうでしょうか。

 県外に行くと電車の移動が中心となるため、駅から目的地まで、よほど離れていない限り歩いていきます。だから県外で過ごしているとふだん歩いていないことを実感します。
 最近は、ダイエットや健康のためにウオーキングしている人をよく見かけますが、1日に8千歩から1万歩ぐらい歩くと健康に良いそうです。私たちが日常で歩く平均が4千歩から6千歩だと言われていますが、これは県外のデータなので、沖縄の車社会の中ではもっと少ないかもしれません。
 東京へ家族旅行に行ったときのこと。駅から駅へ、そして駅から目的地へとよく歩きました。途中、幼稚園生の息子が疲れたと言うので、子どもを背負って歩きました。そのとき「沖縄にも電車ができて、幼いときから歩く距離が増えると運動能力にも影響するのではないか」と思いました。幼いときからの歩く距離が、中学生や高校生の競技力に影響を与えているとしたらどうでしょうか。
 平成23年度新体力テストの結果でも、沖縄県は20メートルシャトルランや持久走など持久系種目で全国平均を下回っていました。しかも小中高校の全ての学年で全国平均を下回っているのです。これも車社会の影響なのでしょうか。
 最近、話題になる電車の敷設やゆいレールの延長は、県民の利便性だけでなく、車社会の県民生活に変化をもたらす可能性があります。車社会から電車社会へ変わり、幼いときから歩く距離が増えることで、持久力を必要とする競技にも良い影響を与えるかもしれません。
(喜納敦(きなあつし)、県立北山高校教諭)