コラム「南風」 まちづくりは難しいか?


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 名護市を中心にやんばるをフィールドとして「まちづくり」をテーマに活動している者なので、最初にちょっと硬いですが直球でいきます。一言で「まちづくり」と言っても中身がみえにくいものです。地域活性化、地域振興、村おこしなど、さらに施設整備等のハード面を言う場合と、人材育成やイベントの実施などソフト面を指す場合といろいろです。

 そうです。「いろいろ」なものですから同じことを議論しているようでも、実は話している方の持っている価値観や背景の違いから、まちづくりの定義や目的の共通認識が甘いと、かみ合わないことが多いのです。
 もう一つ大切な視点は、まちづくりは誰がやるのか。主体は誰かという点です。当然、住民ですという答えは行政的には満点なのですが、実はこれは何も語っていないのと同じで、現場では何の役にも立ちません。地域という答えも同じです。例えば「教育は地域で支える」と言ったとします。正論なのですが、多くの人にとっては他人事になります。実はあなたであり、私なのです。当事者意識です。
 そんなことを日々考えている小生がこれからこのコラムで、やんばる・名護から風をお届けできればと考えています。
 タイトルにあげた「まちづくりは難しいか」に対しては、答えは「はい」で、だからやめられないのです。だれがやっても同じ答えなら私はやらないと思います。一つの解は「人」につきるということと、行動ありきだと考えています。
 最後に田坂広志さんの著書の中で「パリになぜ芸術家が多いか」という問いに「そこには本物があるから」というやり取りが紹介されています。私は自分に置き換えて私は本物か? ウチアタイしながら自問自答しています。
(末吉司(すえよしつかさ)、NPO法人HICO理事長)