コラム「南風」 外来種を考える


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 外来種の移入により、在来種が危機的状況になることを多くの方々が認識するようになりました。単に移入種であれば、農畜産物や園芸植物など生活の周りは外来種ばかりです。

 ウイルスや病原菌、寄生虫、害虫、害獣などの意図しない侵略的外来種は人間の交流、物流によってもたらされ有用性が見いだせない物が多いのですが、それとは別に人間が必要性を考え移入した外来種が多く存在します。これらをいま一度考えねばならない時期に来ているかと思っています。
 移入する要因はさまざまで、食用、薬用、生き餌、飼料牧草、繊維、燃料、緑化、毛皮、天敵、通信、実験、研究、ペットなど有用性や利用性、経済性から移入されました。感覚的にもきれい、かわいい、珍しい、香ばしい、聞き心地が良い、感触が良い、おいしいなど人間の要求に応え実績も出してきました。
 この中で、競合性、侵略性があり、攻撃力や繁殖力、毒性が想定を上回る物や、生活史が想定外な物が当然存在します。有用性を一元的、近視眼的に見ることはよくありますが、そこに落とし穴があるようです。
 外来種を扱う場合、自分の生活内容を想定し、自分で完全にコントロールできる自信がある動植物に限定することが重要です。そうでなければ、想定外の能力に対して有用に利活用ができる方法を考え出す責任があるでしょう。
 人為的に品種化された家畜、園芸植物でも野生化することもありますし、同じ沖縄県内でも他地域で捕まえた動植物を持ち帰るのも注意が必要です。集落のしきたりや島言葉が少し離れると違うのと同じくらい沖縄の生物多様性は地域の変異がいろいろあります。
 間もなく県民環境フェアが行われます。外来移入種を環境の面から今一度立ち止まり振り返っていただければと思っています。
(高田勝、沖縄こどもの国専務理事・施設長)