コラム「南風」 一歩ずつ前へ


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 悩み事ができた時、気持ちを打ち明けて相談できる人はいますか? 本当に苦しい時や困った時は、誰かを頼ってもいいのではないでしょうか。自分の問題を自分で解決することは大事なことですが、責任感が強い人ほど1人で解決しなければならないと思い込み、抱える荷物が重くなり過ぎて、解決方法を誤ったり、つぶれてしまう傾向があるようです。

「苦しい」「つらい」「悲しい」と言葉にすることが、人間として弱いこととは限りません。苦しい時に苦しいと伝えられないで我慢ばかりしていたら、いつもそういうクセがついてしまい本当にうれしい時にも「うれしい」と言えなくなってしまいます。話をすることでそれまで気づけなかった自分自身の本当の気持ちに気づけたり、気持ちの整理がついたりするものです。そして自分では思いつかなかったようなアドバイスをもらえたりして、道が開けていくのではないでしょうか。先へ進む自分を大切にするためには肩の力を抜くことも大事です。
 また、生活上で何か問題が起きた時に社会保障や福祉制度を利用することは悪いことではありません。それらの制度は国民全員に平等に与えられている権利です。特に病気や障害は気合で治せるものではありませんので、より健康で文化的な生活を送るために、医療制度や福祉制度を活用して生活の質を向上させましょう。
 ところで、もう年末ですね。この1年を振り返るとあっと言う間でした。新しい出会い、挑戦、経験、いろいろな出来事がありました。このコラムも今回が最終回となりました。読んでくださり、声をかけてくださった皆さん、ありがとうございました。どこかでお会いすることがありましたら、いつでもお声かけください。この先もお話を聴かせていただきながらまた考え、私自身一歩ずつ前へと成長していきたいと思っています。
(小林学美(こばやしまなみ)、天久台病院精神保健福祉士)