コラム「南風」 んまりずま ~生まれ島~


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 私の出身地、「多良間島」は宮古島と石垣島の中間に位置し、晴れた日には島で一番高い八重山遠見台から石垣島が見える。島には山や河川はなく、平たんでお皿のようにまん丸い。青い海にぽっかりと浮かぶ、そのまん丸の島の形が私は大好きだ。

 多良間島といえば「八月踊り」が有名で「国指定重要無形民俗文化財」に指定されている。始まりは定かではないが、1673年に宮古、八重山に人頭税が課せられ、その皆納と豊作祈願が旧暦の8月8日から3日間にわたり行われていたことが起源と伝えられる。
 今年は9月12日から行われる。祭りの期間中、島は活気に溢(あふ)れ、出会う人々は笑顔に包まれていた。学校は1校時目で終了し、始まりの合図のボラと三線の音色が島中に響き渡ると胸躍らせ会場へと急いだものだ。
 島の人口は1267人。信号は一つ、商店は何軒かあるがコンビニはなく、タクシーも走っていない。学校は保育園・幼稚園・小学校・中学校とそれぞれ1校のみで、クラスは各学年1クラス。保育園から中学3年生まで一緒の同級生は全員幼なじみといえる。高校はなく、進学を希望すると必然的に15歳で島を出なければならない。私も進学を希望し、中学卒業とともに親元を離れた。慣れない沖縄本島での生活は、旅行に行くのとは違いホームシックとの闘いで、休みが待ち遠しく島に帰ることが何よりの楽しみだった。
 大人になった今は1年に1度、お正月に帰省し英気を養うようにしている。今年のお正月も島で迎えることができた。やはり生まれ育った島は心が安らぐものであり、故郷があるということは「幸せ」なことだとあらためて感じた。
 これから半年間、人との出会い、そして空手を通して学んだことなどをお伝えしていければと思います。
(豊見城(とみしろ)あずさ、劉衛流あずさ龍鳳館館主)