コラム「南風」 タイムマシンにお願い


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 映画「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」で、高校生のマーティは、テロリストに追われてドク(博士)の作ったタイムマシンで30年前にタイムスリップ。そこで当時まだ高校生の父親を応援して母との恋を成就させる話は楽しかったですね。

 さあ不思議な夢と遠い過去が好きなら さあそのスイッチを遠い昔に廻(まわ)せば…「タイムマシンにお願い」(サディスティック・ミカ・バンド)。タイムマシンに興味はありますか。
 実はタイムマシンがなくても、人は時空を自由に旅することができます。セラピストはタイムトラベルのナビゲーター(航海士)、クライアントを過去にも未来にも連れて行きます。ディケンズの「クリスマス・キャロル」の3人の精霊のように。主人公スクルージは、精霊に過去・現在・未来へ連れて行かれ、強欲だった自分に気付き改心します。
 泣きながらちぎった写真を 手のひらにつなげてみるの…「あの日にかえりたい」(松任谷由美)。壊れてしまった過去を修復したい。戻れるのなら昔に戻ってやり直したい。そんな気持ちになることってありますよね。そんな時は過去に戻ってイメージの中でやり直してみましょう。少し気が楽になるかも。
 拝啓ありがとう 十五のあなたに伝えたいことがあるのです…「手紙~拝啓十五の君へ~」(アンジェラ・アキ)。中学時代に苦しんだ自分に未来の自分から応援の手紙を書きます。多くの中学生が共感しました。
 昔、米国のセラピスト、イヴォンヌに「未来からの手紙」という手法を教わりました。未来に飛んで、うまくいっている近況報告を知人宛てに書きます。自分の夢が実現した想定で書くので楽しいです。書いたことも結構実現します。さあ5年後か10年後の未来に飛んで。すばらしい未来をつくって、自慢する手紙を書きましょう。出さないけどね。
(長田清(ながたきよし)、精神科医)