コラム「南風」 朝練は有意義


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 昨年10月、長野県教育委員会は、中学生の運動部の朝練習は原則やめるべきだとの方針をまとめたことが、物議を醸しています。その理由は、朝練習を行うことによって、子どもたちの睡眠時間が削られることを防ぐためだといいます。果たして、これで子どもたちの睡眠時間は狙い通り確保できるのでしょうか?

 私はそうは思いません。朝練習のなくなった子どもたちの行動を想像してみてください。いつもは、6時に起きなければ間に合わない朝練習がなくなり、子どもたちは、ややもすれば登校時間ぎりぎりに間に合う7時~7時半などに起床時間が変化してきます。その結果、夜は少し遅くなっても大丈夫、なんて発想になりかねないと思うのです。つまり、夜更かし朝寝坊を助長しかねません。
 確かに朝練習の開始時刻や内容には注意が必要です。開始が6時だったりすると、子どもたちは5時起きくらいを強いられます。これは確かに睡眠時間を削ります。また、練習内容が、体力トレーニングなど激しければ、午前の授業中の眠気を誘ったりする問題も生じます。
 実は、私の指導する琉球大学サッカー部も、私が着任後、朝練習を取り入れています。時間は7時半から30分程度、内容は学生の好きなフットサルの試合をワイワイガヤガヤ行っています。この目的は、生活習慣が乱れがちな大学生に、早寝早起きの習慣を身に付けさせることです。これを取り入れて2年目に創部以来初の九州大学サッカー2部リーグ昇格を果たすことができました。副産物もあります。その後8時半からの1限の講義に、サッカー部の学生諸君は遅れることなく出席でき、学業の面でもメリットがあるようです。
 このように、朝練習はやり方次第で、早寝早起きにつながる有意義な活動であると私は考えています。
(笹澤吉明(ささざわよしあき)、琉球大学教育学部准教授)