コラム「南風」 沖縄との関わり合い


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 沖縄へ仕事で来るようになったのは、県衣類縫製品工業組合とのお付き合いが始まりだった。組合での東京展示会に呼ばれて参加商品の評価を聞かれ「展示品はどれも美しいが、商売となると、厳しい東京市場では難しい」と正直に答えた。意外な言葉に絶句した様子の役所の方々から、あらためて縫製技術と商いについての指導を依頼され、ボランティアでやろうと決意した。

 2008年7月に新都心で「かりゆしシャツの縫製技術の講習会」を開催。事前に送らせたかりゆしシャツを全体のフォルム、サイズ感、縫製・仕上がり面から分析し、美しく着心地の良いシャツはどうあらねばならないかを細かく説明した。2日目はベテランのパターンナーが、参加した縫製技術員らに個別的に技術指導した。厳しい評価、指摘にもかかわらず参加者には好評だった。
 2010年7月に、琉球新報本社を訪れ、役員室で編集局長に次のような話をした記憶がある。(1)安価な外国製があふれる中、鎌倉シャツが評価され売り上げの伸びに供給が追い付かない。沖縄は若年労働者が豊富で、技術者の安定供給が期待できる(2)アジアの主要国に近く、輸送インフラも充実。この地の利を生かした沖縄の将来展望(3)かりゆしウエアも裾野(すその)を広げれば伸びしろは十分にある。話が弾み、1時間半の長居となってしまった。
 昨年8月には福島県のリオ・ビアンコ社の沖縄縫製工場を訪れた。念願の沖縄県内製造委託に向けて工場視察とサンプル製品のチェックが目的。ほぼ合格! 技術研さん中の職人20人はほとんど沖縄出身者。足掛け5年を費やしたが、これからがスタートだ。沖縄を起点に世界への窓口が開くことで、職人さんの技術やモチベーションの向上、新規雇用にもつながる。ものづくり沖縄の発展にも。
(貞末良雄(さだすえ・よしお)メーカーズシャツ鎌倉会長)