コラム「南風」 伝え合い


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 スーパーでの買い物が好きで週に数回利用する。かごの中が茶色の食材ばかりにならないように緑の野菜も選んでいるか確認。子どものころは母と買い物に行くと「緑がないね」とか「赤は入ってるね」なんておしゃべりしていたっけ。

 子育て中の働く女性の環境は、実家と保育園、勤務先と自宅が30分以内で移動できるようにまとめたい。それでも夕飯は7時を過ぎるし、さっと作れるメニューになってしまう。
 帰宅後、座る暇なく始まる夕飯の支度。私が気に入っているのが無洗米、洗米が憂鬱(ゆううつ)なのだ。それから真空保温調理器、出来上がるまで火加減を気にせず、他のことができるし、焦げつかず後片付けも助かる。書きながら、なんて自分はものぐさなんだろうと思う。
 接客業をしていたので顧客満足に関する研修を担当することも多い。日常は仕事のヒントがたくさんあり、生活と仕事の距離が近い。休日の夜のスーパー、弁当を1折り買ったお客さんの一言から始まった。以下、お客さん(客)レジ係(レ)、私の心のつぶやき(私)
 レ「お箸は何膳ご利用ですか」。客「10本」。私(10本! 事情があるならその理由を伝えないと)。レ「10本も、ですか」。私(そんな依存的なコミュニケーションではなくて、割り箸購入を提案したら?)
 私の会計中に、客「1本足りません。10本お願いしたのに9本しか入ってない」レジ係は無言で1本渡す。私(サービスするなら正確に)。つい、参加してしまった。不謹慎だが面白かったので戻った自宅で夕飯の支度をしながら相棒に話したら、彼がそういった場合の対策を語り始めた。しかも長い。私は、対策を議論するために話したわけではなく、ただ面白さを共有したかっただけなのだ。
 どうしたら話を自然に変えられるかなと考え始める。伝え合いは楽しい。
(田港華子、オフィスDEN代表)