コラム「南風」 憧れのアイドル


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 ここだけの話、無類のアイドル好きである。小学生のころ、南野陽子に衝撃を受けて以後女性アイドルに目を向け続けてきた。アイドルだけではなく歴史や政治、小説でも女性の生き方に興味がある。女性は美しさや優しさ、品、笑顔とさまざま要求される。

 一般人の私ですら普段の生活で少々窮屈さを覚えるほど場面ごとの女性像を要求されていると感じるのだが、彼女らは仕事として自らを商品化しパッケージングして提供し続けるのであるから頭が下がる。それを望み、楽しんでいるように見える子も多い。特に今のアイドルはステージ上だけでなく日々の様子をブログにつづり「身近さ」まで届け続ける。これを読んでいると生い立ちや背景まで知ることができ、ついつい愛着が深まってしまうのだ。
 アイドルの魅力はたくさんあるが、大衆性を帯びていることを置いても個々の生き方が如実にさらけ出されるところにあるだろう。そしてどの女性の生き方も一生懸命で輝いて見える。
 1度だけお店をグラビア撮影に提供したことがある。ロケバスで到着した一行はアイドルを見事に商品として扱っていた。若い女性が水着で肌をあらわにし笑顔で撮影される姿はプロを感じさせたが、何と過酷な仕事であろうかと痛々しく思った。タフさも必要な要素なのだろう。
 身近では食堂や市場で働くお姉さま方に魅力を感じる。あのおおらかさとパワーたるや国宝級ではないだろうか。化粧をしてバリバリ働く沖縄の女性たちはすてきだ。食堂やヤギ料理店のお姉さまにはいつも羨望(せんぼう)のまなざしをもって接する。
 また、心から尊敬している女性は主人の祖母だ。自立して生活しており元気。今年で御年100歳である。優しい目をした祖母の手を握り、話を聞く時間はどの握手会より貴重で何とも言えない充実感がある。
(國吉真寿美、夜カフェ「rat&sheep」経営者)