コラム「南風」 全国制覇への道


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 23年前インターネットも普及しておらず、強豪校の情報や対戦校を事前に知る手段もなかった。いま思うと情報がない分、強気で試合に挑むことができたように思う。

 女子団体形は3人で構成される。私は予選に出場し、準決勝へとつなげた。先輩方は決勝へと駒を進め、最後の演武が終わり結果発表の時を待った。発表の時、浦添高校が呼ばれたのは2番目。結果は「準優勝」。全国制覇まであと一歩届かず、初めての全国大会は「悔しさ」だけが残った。
 2年生になり女子キャプテンに任命された。「全国制覇」を新たに決意した矢先、佐久本先生のドイツ留学が決まる。「すごい!」と思うと同時に、留学することに対して指導者を失ったように感じ困惑した。先生は私たちの動揺を見据えてか、留学期間中の指導をOBの先輩方に依頼。先生の配慮を感じた。先輩方は大学生で学業が忙しいにもかかわらず、休日返上で毎日指導に来ていただいた。
 前年、全国大会で味わった悔しさ、また先輩方の情熱に応えたいとの思い、そして留学中の先生に「日本一」の報告がしたい、さまざまな思いが厳しい稽古を耐える原動力となっていた。
 厳しい稽古を積んだ成果は、選抜大会全種目出場へとつながった。指導者、共に練習してきた仲間と心を一つにし、無我夢中で試合に挑んだ。大会を終えてみると、浦添高校初の個人・団体形「優勝」の2冠達成を成し遂げ、前年の選抜大会での雪辱を果たし、先生、先輩方に喜びの報告をすることができた。
 さらに3年生のインターハイでも、幸運なことに個人形「優勝」の結果を残せたのである。
 高校生活は空手中心の毎日であったが、想像以上の成果を収めることができた。全国制覇は私に「自信と誇り」を持たせてくれ、次なる道へと進む勇気をくれた。
(豊見城あずさ、劉衛流あずさ龍鳳館館主)