コラム「南風」 和みの外人住宅街


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 わが浦添市で、ここ何年も話題のスポットとして進化し続けているのは、港川の外人住宅街である。人気のカフェやタルト屋さん、エステや洋服屋さんなどがある。今やどの沖縄旅行ガイドブックにも紹介され、定番観光地の仲間入りを果たしている。訪れるたびに、新しいお店がオープンしていたり、オープンする準備中であったりと、常に変化がある。県外のみならず、国外からの観光客が訪れることも珍しくないそうだ。

 昨年のゴールデンウィークに埼玉から友人が沖縄に来た時、外人住宅街を案内した。カフェでごはんを食べ、別のカフェでスイーツに舌鼓を打ち、お土産を買い、古着を見た。
 友人は人の温かさに驚いていた。県外の人の「沖縄の人は温かい」という言葉は聞き慣れているというか、聞き飽きた気さえする。しかし本当に外人住宅街の方たちは温かい。あるカフェでは、2人でお茶を注文すると、1杯を2人で飲めるようにポットにお湯を継ぎ足してくれる。その心遣いにいつも感激する。
 特筆すべきなのは、お店の人同士の仲の良さだ。このお店にあのお店の人が遊びに来たり、このお店でもあのお店の商品を販売していたりする。
 小学生のころは、外人住宅街にクラスメートが何人か住んでいて、学期末のお楽しみ会の練習で誰かの家にみんなで集まった。たまにしか行かない私にとっては迷子になってしまうような、独特な雰囲気の地域だった。まさか、自分が大人になった時、おしゃれなお店が並ぶようになるなんて夢にも思わなかった。
 国道58号から少し入っただけなのに、穏やかな時間が流れている。日々の慌ただしさを少しの間忘れさせてくれる和みの空間だ。
 長らくおじゃましていないあのお店にも、まだ行ったことのないそのお店にも行きたくなってきた。
(トーマ・ヒロコ、詩人)