コラム「南風」 Manami ラジオ


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 先日、桜坂劇場で「バックコーラスの歌姫たち」という映画を見ました。
 マイケル・ジャクソン、レイ・チャールズ、スティーヴィー・ワンダーなどの著名なミュージシャンのバックコーラスをしていた歌手たちの壮絶なドキュメンタリー映画でした。

音楽業界とはこんなに恐ろしい場所なのか!(私が言うなよ。笑)と思わされたり、また彼女たちの信じられないほどの歌唱力に圧倒されたり、歌い手の心の葛藤に共感したり、私の職業との兼ね合いもあって、とても考えさせられた映画でした。
 その中で一番心に残った言葉があります。リサ・フィッシャーが、インタビューでこう言っていました。
 「歌は競い合うものではなく、分かち合うもの」
 あ~よかった。私はこの言葉を聞いてようやく安心しました。もちろん歌や音楽に限らず、どの世界でも競争はあります。ただ私たち人間は「競争」というものが本質的に合っている生き物なのかなとたまに思わされる時があるのです。
 私はオーディションを受けていたころは、競争心むき出しで高い声がどれだけ出せるかみたいなキンキンした声で歌っていました。
 今思えば、いい歌なんて歌えっこないなというような精神状態。そしていろんな谷あり谷ありを経て結果的にはオーディションに合格しましたが、不思議ですよね。競い合う場所で、この「分かち合う」という言葉に気付いた時に合格したんですから。
 「分かち合う」心が感動を生みます。そしてその感動をまた「分かち合う」。この連鎖が私たちの生きることへの選択につなげてくれるのかもしれませんね。
 ってな感じでいってみましょうか、今日の気分はルイアームストロングの「what a wonderful world」
 また再来週!!
(Manami、歌手)