コラム「南風」 ただ悲しいのは


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 今年1月、私が嘱託として勤めていた公的機関に、県職員から「宮城秋乃が勤務中にフェイスブックやブログ等を書き込んでいる。知事の個人情報(知事公舎住所)を晒(さら)している」という「お達し」がありました。勤務時間を私用に当てたという事実はなく、また、公舎の住所が個人情報には当たらないことを県秘書課にも確認し、県職員の「狙い」は簡単に外れてしまいました。

 「お達し」の内容から、彼が私のインターネット上の書き込みをチェックしていることが分かります。インターネットによる発信はそれなりの覚悟の上でのものですが、自分の立場を利用した「お達し」をもらえるとは予想外でした。
 私は誰かも分からぬ彼に正職員を通じ謝罪を求めました。謝罪があれば許そうと思いましたが、残念ながら望みはかないませんでした。
 彼が本当に冒頭のような勘違いをしたとは当然考えにくく、彼は私への何らかの感情で私をおとしめようとしたのでしょう。思想の違いという理由が一番しっくりきますが、人の心は理屈でないため、こればかりは分かりません。
 もし彼が沖縄県の職員として誇りを持っているのなら、こんな陰湿なやり方ではなく、実名で正々堂々と意見を伝えてきてほしかった。大丈夫、私はあなたにかみついたりしないから。敵という言葉はあまり好きではないけれど、あえて使うなら、私の敵はあなたではないのです。敵があなただったならどんなに簡単だったでしょう。
 道理に合わない攻撃は初めてのことではありません。沖縄の自然を守ろうと行動すれば、今後も同じようなことがあるのでしょう。私の発言や行動は何者にも抑制されないにもかかわらず。
 ただ悲しいのは、沖縄の自然を守ることを是としない人がいるということなのです。
(宮城秋乃(みやぎあきの)、日本鱗翅学会自然保護委員)