コラム「南風」 ドイツのサッカー文化


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 昨年12月に、私はドイツのサッカークラブを視察しました。クラブ名は「FCビューデリヒ02」で、トップチームはドイツでは6部のランデス・リーガで戦っています。

 このクラブはデュッセルドルフ市に隣接するメアブッシュ市にあります。クリスマスシーズンのドイツは、どの街もクリスマスマーケットが開かれ、華やかな出店が並ぶ中、ホットワインやホットチョコレートを飲みながら、大人も子どもも寒くて長い夜を楽しみます。私もホットワインを頂き、体を温め、20時からのシニアの部の練習に参加しました。
 日本サッカー史に残るメキシコ五輪銅メダルに貢献したデットマール・クラマー氏が持ち込んだドイツサッカーの、止める、蹴るの基本技術の正確性と、ダイナミックでシンプルな戦術に私は憧れておりました。そんな思いでシニアのゲームに参加し、極寒の中、心地よい汗をかき、イメージ通りの高レベルのゲームを楽しむことができました。
 このクラブは、トップ、セカンド、シニアなどの社会人、幼児から青年まで年齢別、計25チームが活動しています。グラウンドは、芝のスタジアムとサブ、人工芝(2面)、土の計5面です。クラブハウスには広いロッカールーム、シャワールーム、レストラン、バーが完備されています。シニア会員に聞くと、年90ユーロ(1万2、3千円)の会費で、これらの施設を自由に使えるそうです。安価なのは、地元企業がメセナとしてスポンサーになっているからです。練習後、彼らはクラブハウスでトップチームの録画試合を見ながら、地ビールをおいしそうに飲んで会話を楽しんでいました。
 これが市単位で、このようなクラブは無数に存在するのです。私の夢はこのようなクラブを沖縄に創り、サッカー文化を後世に残すことです。
(笹澤吉明、琉球大学教育学部准教授)