コラム「南風」 島に住む覚悟


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 日本の各地で行政が行う環境破壊に対する市民の反対運動が起きています。沖縄はこんな小さな島なのに、辺野古、高江、国頭、泡瀬など密度高く環境問題が存在しています。これは異常な事態です。どうしてこういうことが起こっているのでしょう。

 米軍基地問題を除けばこれら自然破壊の直接の目的は経済発展です。沖縄の各地に自然よりも経済を重視している人が多くいます。そんな人々が今も昔も自然があることを「何もない」とみなし、大地や海をコンクリートなどで覆うことに必死になっています。人々は地方に住みながら都会に憧れてまねをしました。自然を守りたい人々とそうでない人々が小さな島内で対立します。
 時々、「島に住む人のことを考えると経済発展のための自然破壊は仕方ない」という声を聞きます。私は自然や文化を粗末にし過度な発展を求めるなら、若者だろうが年寄りだろうが島を出て都会に移り住めばよいと考えます。島に住むのなら、素朴な生活をし多少の不便を受け入れ自然と共に暮らすべきだと思うのです。
 島に住み続けたいのに都会のような生活がしたいなんて自然を無視した自己中心的な生活を続ければそのうち生態系は崩壊し島の個性もなくなります。
 島を愛する者が島にいながら働くことができるよう自然や文化を生かした発展を行政が目指せばよいのです。日本そのものが島国なのですから本来なら国全体で意識することです。島にはその島の自然とともに生きていく覚悟がある人が住めばよい。自然を人に合わせるのでなく、人が自然に合わせるのです。
 私はずっと沖縄の昆虫たちと一緒に暮らしていたいから、彼らに合わせた生活を営んでいこうと思っています。そんな生活はすごく幸せなのに、理解できない人が大勢いるようです。
(宮城秋乃、日本鱗翅学会自然保護委員)