コラム「南風」 ビーチサッカーと子どもたちの成長


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 私は3年前の夏より、日本財団の援助を受けて、沖縄の小学生にビーチサッカー教室を、西原マリンパークで毎年開講しています。講師は私の他、琉球大学サッカー部員、河原塚毅さん(ソーマプライア)らのビーチサッカー日本代表の皆さん、サッカーデモンストレーターの土屋健二さんです。

 この教室の狙いは、ビーチサッカーを子どもたちに体験させ楽しんでもらうことだけでなく、沖縄の美しいビーチでスポーツを楽しむことによって、海の自然そのものを愛する気持ちを育てることです。
 砂浜ではだしになって行うビーチサッカーは、芝や土の上で行うサッカーとは異なり、体力の消耗が激しく、またでこぼこの砂の上でボールを巧みにコントロールするには、独特の技術が要求されます。砂にボールがとられるので、浮き球にしてパスをつなぐという、リフティングの技術も必要です。スコップと呼ばれる、ボール下の砂に足を踏み入れ、テコの原理でボールをポンと浮かせる技術で、浮いたボールをパスしたりシュートしたり意図的に動かします。
 子どもたちは、日本代表選手の巧みなスコップのデモを見て何度もチャレンジし、中にはすごく上手な子も出てきます。ゲームを見ると、新しい技術が要求されるため、サッカー経験者と未経験者の差が普通のサッカーより縮まっています。体中砂だらけで、真っ白な砂浜と真っ青な海と空の下、夢中でボールを追い掛け楽しんでくれます。
 はだしでプレーするため、安全面を考慮し、ビーチクリーンから教室は始まります。奇麗(きれい)な環境をつくってから、スポーツを楽しむ。子どもたちにとって非常に良い経験であり、海で遊ぶことが大好きになります。親子試合、スイカ割りなどもあり、「楽しかった」と笑顔と思い出をビーチに残してくれます。
(笹澤吉明(ささざわよしあき)、琉球大学教育学部准教授)