コラム「南風」 職責と権限について


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 組織での責任や権限について通常の仕事をしているときには意識はしていない。ひとたび問題が起きると、これは誰の責任なのか、誰が権限を持っているのかと必ず論じられる。企業組織における責任と権限の概念を確認してみたい。

 働く人の位置付けを職位という。職位につくと職務がくっついてくる。工場長なら工場長として担当するあらゆる仕事をひっくるめてこれを職務という。職責は個人が負っている仕事全部をきちっと果たすという責任のこと。そして、職責を果たすのに必要な力、権限を与えてもらえないとその職責は十分に果たせない。
 例えば、担当部署から、通常の割合以上に不良品が発生していると報告があったとする。工場長に製造ラインを停止する権限があればすぐに停止し確認、調査を行わせることができる。権限は職責を果たす上で必要である。そして権限が与えられると、その結果について結果責任を負わないといけない。
 「三面等価の原則」職責、権限、結果責任は職務を構成する正三角形の各辺にある。つまり職責も権限も、結果責任も等しくなければいけない。職責が大きいのに与えられた権限が小さかったら追及される結果責任は与えられた権限の範囲にとどまる。現実の仕事を進めるときに、いつもこういうことを意識してやれるわけではないが念頭には置き、質の高い仕事がしたい。
 部下に権限を委譲する場面がある。任された本人の能力開発、意欲の向上が期待できるよい機会である。上司は、より上位の仕事に取り組むこともできる。意思決定と実行権限、責任は任された部下にあるが、上司には監督責任がある。任されたからといって独断専行を続けずに、中間報告や場合によっては解決行動案の前に速報だけは伝えておきたい。上司は気に掛けているものだ。
(田港華子、オフィスDEN代表)