コラム「南風」 夜の社員食堂から


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 目の奥に光を感じる人。威圧感があってギラギラしているわけではなく、秘めたる信念がそう印象付けるようだった。記者や写真の方は一見人当たりが良く、腰が低い。だが会話の端々でやはり目の奥に強く光が宿る瞬間があり、確固たる信念と流儀が感じられる。

 何の地位もない私が、このコラムを書かせていただけることになったのはそんな光を宿す方々との出会いがあったからである。うちの店は美術関係者が多く来店されるという話を以前書いたが、次に多いのは新聞社の社員の方々なのだ。うれしいことに一部で「夜の社員食堂」と呼ばれているらしい。予約の電話をいただく時に今夜はどの社員が来店しているか確認なさる方、スコーンが週替わりだったころから軽く100種類以上は制覇している方など、本当にお世話になっている。
 公私混同と聞くと、あまり良くないイメージがあるが新聞社の方々を見ていると仕事の付き合い以上に関係を深め、人間同士の信頼関係を築きより良い物を作ろうとする姿勢が感じられる。公私が充実する混同もあるのだ。しかも上下関係を飛び越え、言いたいことははっきり言い合う間柄のようにお見受けする。これこそ信頼関係が大切であり、仕事を、新聞を愛していないことには成り立たない関係であると言えよう。
 新聞は人間が作る物だ。記事や写真が伝えるのは正確な情報だけでなく、その地域へのまなざしや気付き、さまざまな指摘や願いまでもが込められている。今日を知り、未来を信じる人々が切磋琢磨(せっさたくま)し、時に遠慮なくぶつかり合いながら作るから生きるのだろう。
 朝を告げる情報の便りを作る人々の、つかの間の夜の姿を垣間見る。目の奥に確かな光を持つ方たちが、明るい沖縄を導き続けられるよう、共に社会を作る一員であり続けたい。
(國吉真寿美、夜カフェ「rat&sheep」経営者)