コラム「南風」 私の趣味


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 私の趣味はカントリー雑貨の収集です。2002年6月から10カ月間、私はアメリカに留学し、ミシガン州とテキサス州に家族5人で住んでおりました。当時、日本語で書かれた本に飢えていて、日本人のムービングセールで手に入れた本が、雑誌「私のカントリー」でした。

 たまたま、アンティークの特集が組んであり、ミスターピーナツのグッズやファイヤーキングのマグカップやキルトなど、非常に興味深い物ばかりでした。
 週末に街中のアンティークショップに行ってみると、写真で見たグッズがほこりをかぶっておいてあり、手に取ってみると重く、キズなど劣化した外観がいかにも味があり、すぐに魅せられてしまいました。値段も日本の半額以下です。
 ミシガン大学のあるアナーバー市には2カ月に一度アンティークフェアがあり、日本の体育館が四つくらいの大規模なもので度肝を抜かれました。日本のアンティークは江戸時代の陶器など300年前のものなどざらですが、アメリカの歴史は237年しかありません。商品も古くて100年前くらいの物ですが、アメリカのコレクターはそれを慈しんでいます。
 アメリカは大量生産大量消費の国と学んだものですが、一方でこのような現実もあり、私は純粋に胸を打たれました。ペイントの剥げかけた木製のミスターピーナツ人形、底の刻印が消えかかったファイヤーキングのマグカップ、キルトの手縫いの繊細さ、これら一つ一つが作り手の真心や、これまで使ってきた人たちの優しさを伝えてくれます。
 沖縄に住んでびっくりしたのは、これらのグッズが売っているお店が大山を中心にたくさん存在することです。これは沖縄がアメリカ文化と融合している証拠ですが、私にとって沖縄を愛する理由の一つにもなっているのです。
(笹澤吉明、琉球大学教育学部准教授)