コラム「南風」 高江の森の小さな命


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 東村高江でリュウキュウウラボシシジミというチョウを調べています。このチョウは国頭村、大宜味村、東村と西表島に分布する固有亜種です。清流の流れる自然度の高い場所に生息し、分布は局所的で、その生息地でも個体数が少なく準絶滅危惧種に指定されています。新川川の流れる森の奥に幼虫の食べるトキワヤブハギの大群落があり、そこが発生地となっていました。高江周辺にはこのチョウが多産していることから自然が豊かであることが分かります。

 私はこれまで、高江の森にどのような貴重種がいるかとアピールしてきましたが、広範囲に分布する普通の昆虫たちもたくさん住んでいます。夜に森を歩けば、立ち枯れた木の上方から虫が下りてきたり、イタジイの樹皮の隙間に隠れていた虫が出てきたりします。1本の木にたくさんの虫が住み着いていることがわかります。2013年には高江の土壌から新種のカニムシを2種発見することもできました。土の中にも葉っぱの上にもダニなどの小さな生き物たちが住んでいます。
 目に見えない生き物をいれるとこの森はどれだけの生き物を養っているのだろう。森には命が隙間なく詰まっています。どこが欠けたっていけないのです。
 高江で撮影した昆虫たちの写真展「高江の森の小さな命」を、6月29日までうるま市立海の文化資料館で開催しています。はがきサイズの写真が約100点。私は写真家ではありませんが、高江の森で懸命に生きる生き物たちがいることを多くの方に知ってほしくて開催しました。作品は撮影可能となっています。インターネットで拡散したり、お友達に見せたりなどして、高江にどんな昆虫たちが住んでいるのかを周りの人に伝えてください。興味があれば、どなたでも発信者になれます。
(宮城秋乃、日本鱗翅学会自然保護委員)