コラム「南風」 未来


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 未来は誰も見ることができない。私たちは背中を向けて未来に歩を進めている。見えているものは全て過去である。過去の積み重ねが未来である。故に未来は過去にあると言われる。今と思えることも過去である。素晴らしい過去を積み重ねて、気がつけば思い描いた未来が実現している。

 日本ブランドの洋服が世界中の人から買ってもらえる価値のあるものと認知されれば、それはブランド化する。そんな夢を実現させたい。世界は日本の市場の何十倍もあるのだから、国内販売数の5倍、10倍を狙っても不思議ではない。国内100万着、海外400万着を目標にした。国内の目標は、2年以内に実現する。
 とはいえ、日本の物づくりが生き残るためには、働く人たちが未来に希望の持てる職場を提供しなければならない。道は天才が切り開くのではなく、普通に働く普通の人々こそが未来への道を開くのであるから。
 そんな方々に支えられながら、私たちはニューヨーク出店と同時に、グローバルオンラインストアをスタートした。40カ国からの注文を受け、売り上げはニューヨーク店の50%に迫る。世界はネットでつながっている。良い商品を納得価格で購入するツールである。本当に良いものが口づてに広がっていく。
 幸せになりたい世界の人たちが顧客である。彼らが喜んで購入し、予期していた満足を得れば、幸せの波動は際限なく広がる。苦労を喜びとして、共に働いている工場の皆さま、素材の仕入れ先の皆さまが希望と夢を描けるように正直な経営を貫かなければならない。それぞれの関係先と信頼の絆が生まれる。
 正直や正義が大好きなのは世界どこでも同じである。経営のテクニックは必要ない。人々に感謝される道を一歩一歩進めばよいのだから。
(貞末良雄、メーカーズシャツ鎌倉会長)