コラム「南風」 幸福論


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 嵐も吹けば 雨も降る
 女の道よ なぜ険し
 君を頼りに私は生きる
 ここに幸あり 青い空
(「ここに幸あり」大津美子)

 男に依存する女ごころが歌われるこの曲は今の時代にマッチしません。ですが女の強さと希望が感じられ、何よりも幸せを青い空と比喩したところにダイナミックさを感じます。そして将来の幸福ではなく、今ある幸福をかみしめているのがいいですね。
 人生の究極の目的は幸福、古来より多くの人が願っています。でも幸福は手が届かないと諦める人も多く、そういう時は不幸に目がいっているからです。
 幸せを数えたら 片手に
 さえ余る
 不幸せ 数えたら 両手
 でも足りない…
 SACHIKO 思い通りに
 SACHIKO 生きてごらん
  (「SACHIKO」ばんばひろふみ)
 人の幸せは誰が決めるのか。神様? それとも親?実は本人が決めることなのです。人生は苦しいことがたくさんあってつらいのは確かですが、それが不幸とは限らない。例えばスポーツの練習で苦しい思いをしても、つらい練習を止めようとしません。それは目標があり喜びを感じるから。
 ポジティブ心理学という学問があり、ズバリ幸福を科学します。セリグマンは幸福の要素を四つ挙げました。「喜び」はその一つです。「没頭」何かに集中することも幸せにつながります。さらに、自分が何かのため、誰かのために生きることで、人生に「意味づけ」ができると気持ちは充足されます。そして温かい「人間関係」が一番重要です。
 僕らも変わってしまうけれど 当たり前に年をとるけど いつか心臓も止まってしまうけど 君が今日も笑ってくれたなら 君が今日もよろこぶなら それが僕の幸福論
(「幸福論」福山雅治)
さて、皆さんの幸福論は?
(長田清、精神科医)